月の裏側が、かつての磁場の手がかりとなる
月の内部に磁場がかつて存在したかをめぐる長い議論に、ETH Zurich の研究者が新しい手法で答えを出した。42 億年前の月の磁場は、現在の地球の 5 分の 1 から 3 分の 1 ほどだった。
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月の内部に磁場がかつて存在したかどうかは、長く議論の的になってきた。ETH Zurichの研究者たちは新しい手法を用いて、月に存在した仕組みを証明した。その仕組みは今も地球で働いている。
著者:Barbara Vonarburg、フリーランスライター
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磁場の謎を解く鍵は月の裏側にある。Artemis 2の宇宙飛行士が最近目にしたように、地球からは見えない。(画像:NASA)
要約
- 月の岩石試料は相反する像を示す。強い古磁場を指し示す試料もあれば、そうでないものもある。
- ETH Zurichの研究者たちは、月の裏側のある特定領域の重力と磁場の測定データを用いて、その地下の月殻の構造と磁化を明らかにした。
- この結果から研究者たちは、42億年前の月の磁場は10マイクロテスラを超え、現在の地球磁場の5分の1から3分の1に相当すると結論づけた。
地球と違い、月には今、核が生み出す磁場がない。地球では外核の液体鉄の運動が全球的な磁場を生んでいる。このいわゆる地球ダイナモは自転車のダイナモと同じ仕組みで、機械的な運動を電気に変える。「月にもかつてダイナモが働いていたかどうかは、今も激しく議論されています」と、ETH Zurich地球惑星科学科の博士課程学生Xi Yangは言う。アポロの宇宙飛行士が持ち帰った岩石試料の分析結果が食い違っているためだ。
「42億5000万年前から35億年前にかけての長い時期に強い磁場があったと考える研究者もいれば、その証拠を見つけられない研究者もいます」と、同学科の地球物理学者で講師のAnna Mittelholzは言う。ダイナモ説のほかに、月の岩石の磁化を説明する第二の可能性がある。大型の隕石や小惑星の衝突が月で磁化を引き起こした、というものだ。
この2人のETHの研究者が、ドイツ航空宇宙センター宇宙研究所とベルリン工科大学の同僚とともに行った研究は、今度はダイナモ説を支持する。月が形成されてから数億年後の42億年前、月には確かに内部で生じた磁場があった、という結論だ。研究者たちが拠り所にしたのは岩石試料ではなく、月周回探査機が集めたデータである。たとえばNASAの「GRAIL」による重力測定や、Lunar ProspectorとKaguyaの周回測定から構築された磁場モデルだ。
内部を覗く窓
焦点は、地球からは決して見えない月の裏側のDewarと呼ばれる領域に当てられた。「Dewarは本当に幸運な場所です。月の裏側で最も強い磁気異常の一つが、明瞭な重力異常と空間的に重なっているのです」とMittelholzは言う。つまりこの領域の岩石はより強く磁化しており、同時に密度も周囲より高い。「この領域が、月の内部構造を覗く潜在的な窓の一つとなっている理由でもあります」とYangは言う。
月周回軌道から測られる磁気異常の起源は、ほとんどの場合わかっていない。「しかし重力データから密度がわかり、ひいては地表の下に何があるかがわかります」とMittelholzは説明する。「磁場と重力の信号が重なる場所では、両者を組み合わせて異常を特定の地質構造に帰属させられます。Dewarはまさにその機会を与えてくれました」。研究者たちはこれを存分に活かした。重力と磁場のデータを初めて統合的に処理し、精密な地下モデルを作り上げたのだ。